初来日したオーストラリア人クリス。大の日本ファンです。まあ、始終大喜びでした。日本の、目に入る物全てが“KAWAII!!”のだそうです。東京モノレールのSUICAカード、モノレールのイラストが可愛いとかで、オーストラリアに持ち帰っていました。クリスのKAWAII💗LOVEは止まらない・・・男の子なのにね。
そんなクリスが電車の中で、あるアクションを起こしたのです。
私とクリスの二人、電車で座っていたら、両手に紙袋を下げた若い女性が乗って来ました。じっと彼女を見ていたクリスは、スッと立ち上がり彼女の方に歩み寄り、日本人にも分かる単語で「Please.」と言い、自分の席を指さし、座って下さいと意思表示をしました。そう。クリスは女性に自分の席を譲ろうとしたのです!
常々、ジェントルマンだとは思っていたよ!!オーストラリアでは、何処でもドアを開けてくれるし、私が通るまでドアを押えてくれているし。でも、でも、日本に来てまで、電車で女性に席を譲るとは思っていなかった。凄いよ!あなたは。と、ビックリしました。
ですが、譲られた女性は、一瞬、嫌がる表情をし、周囲の様子を見回した後、強く拒みました。
それでも、クリスはめげず、「あなたが立っているのに、自分は座っていられない。」と英語で言って、更に「Please.」と席を譲ろうとしました。でも女性は頑なに拒み、その場にいられなくなり、車両の遠くに行ってしまいました。茫然としたクリスは、仕方なく私の方に戻ってくると、空いている自分の席に座りました。
「なんだか、気まずい・・・」「なぜ彼女は座ってくれなかったの?」
と聞いてきました。
「彼女は若いから。」
「俺だって若いよ。」
「日本ではお年寄りに席を譲るから、“私、そんなに年じゃない”と思ったのかも。」
「誰も彼女をお年寄りだとは思っていないでしょ。明らかに、彼女は若いじゃん。」
「それとも、妊婦さんに席を譲るケースもあるから、“自分は太って見えるのか?”と思って気分を害したのかも?」
「はっ??彼女、太っていないじゃん。どこが太ってるの?」
「でも、日本で女性に席を譲るってことは、そういう受け取られ方もされかねないんだよ。」「彼女も、こういう形で周囲から注目を浴びたく無かったろうし。」
「女性を立たせておいて、自分は座っていられないよ。」
「日本では、女性だからという理由だけでは、男性は席を譲ってくれない。女性の方も、自分は席を譲ってもらえる対象だと、日頃思った事すらないんじゃないかな。びっくりしたんだと思うよ。」
「実際、日本人男性は女性よりも先に電車の席に座ろうとするくらい気合い入れて電車に乗るから。」
「座席に関しては、男女平等なんじゃない?」
「それは違うよSabiさん!男性は明らかに強いよ。腕力でも体力でも。これは明らかな事実なんだ。社会の中で、力のある者は力の無い者に対して、常に優しくあらねばならない責任があるんだよ!」
言い返せませんでした。その通りだと思ったから。と同時に、自分が、力の無い者の目線を無くしていた事に気付きました。自分自身が力の無い者であるにも関わらず。
いつから無くしていたのだろう・・・
男性の中で、男性と一緒に仕事をするうちに、感覚を麻痺させていた。そうしないと男社会では働けないから。確かに理不尽さには忍耐強くなりました。しかし結局は、その理不尽さを直視することなく、力を持つ者・得た者が自由に振舞える環境を普通だと思い込んでいました。そんな環境で生きていくしかないと。
無理をして男社会に付き合うかどうかは私の判断ですが、同じ事を他の女性にまで求めてはいけないですよね。次の世代の女性が無理しないでも普通に働けるように、私は動かなければならなかったんです。
仕事を通じて、私の周りには問題児よりも優しい男性の方が多くいたので、社会的に力の無い私でも、仕事を続けて来られたのだと思います。彼らの優しさに甘えるだけで、社会の理不尽さには耐えるだけで、自分は戦って来たのかな?社会的に力の無い者のために。男は優しく、女は強く、ならなければ!
男性の中で、男性と一緒に仕事をするうちに、感覚を麻痺させていた。そうしないと男社会では働けないから。確かに理不尽さには忍耐強くなりました。しかし結局は、その理不尽さを直視することなく、力を持つ者・得た者が自由に振舞える環境を普通だと思い込んでいました。そんな環境で生きていくしかないと。
無理をして男社会に付き合うかどうかは私の判断ですが、同じ事を他の女性にまで求めてはいけないですよね。次の世代の女性が無理しないでも普通に働けるように、私は動かなければならなかったんです。
仕事を通じて、私の周りには問題児よりも優しい男性の方が多くいたので、社会的に力の無い私でも、仕事を続けて来られたのだと思います。彼らの優しさに甘えるだけで、社会の理不尽さには耐えるだけで、自分は戦って来たのかな?社会的に力の無い者のために。男は優しく、女は強く、ならなければ!
クリスは、男性が日頃思っていても口に出さないことを、敢えて、女性の私に話したのだと思います。社会の中で力を持つ者が持たざる者に対してどう振舞うかは、座席を譲る譲らないの問題だけでなく、文化的背景による“価値観の違い”という言葉で相対化する話でもなく、男女含めての人としての品性の問題だと気付きました。
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