女一人で海外出張: 現地情報は生ものです

2017年8月1日火曜日

現地情報は生ものです

 海外出張の際は、現地が安全かどうか情報を収集し、行くかどうかの判断を行います。一般に外務省の海外安全ホームページを参照するのではないでしょうか?ここの情報でレベル1のエリアなら、ためらわず出張に行かされるのでは?

 でも、現地の状況は、なかなかこのwebサイトには反映されていない気がします。そう感じるのは私だけではないと思います。

 基本的に、このマップでは事件が起きた所に色が付いているので、頻繁に事件が起こる地域の特定には使えると思います。ですが、近い将来、事件が起きそうだという”気配”を掴み取ることはできません。

 現地の安全に関する状況は刻一刻と変化します。以前は治安が良かった所が、最近はちょっと近づくのも怖い・・という現地の肌感覚は、情報として伝わってきません。まだ事件が起こる前なので危険を示す色ではレベル1の色も付かず無色のままかもしれません。ところが実際は爆発寸前のレベル2くらいの危険性があったりします。

 こういう現地情報を仕入れるにはどうしたら良いでしょうか?先ずは信頼できるルートに聞く事です。例えば現地カウンターパートや現地知人に聞く事です。いない場合は現地に支店を置く日本企業に聞く事です。(ネットに質問を投げても、古い情報か、都市伝説か、いたずら情報が集まってきますから。)

 日本企業のなかでも商社系が世界の都市域をカバーしています。もう一つ、資源系の企業は僻地の情報に強いです。資源系の企業はブランチを置いているかいないかの当り外れもありますが、ブランチのある地域に関してはとても詳しい情報を有しています。商社系の持つ情報は広く浅く。資源系の持つ情報は特定の地域に関して深く。といった感じでしょうか。ここ最近は物流系も強くなってきたように感じます。一貫輸送をしているフォワーダも情報を持っていると思います。

 ちなみに、JICAの現地オフィスに電話しても繋がりませんよ。その他日本政府機関の現地事務所に電話しても同様です。現地人スタッフしかいなかったりしますから。担当者が日本に帰国したタイミングで運よく会えるかどうか、です。そのタイミングがなかなか合わないので、お話をお伺いできた事はあまり無かったです。

 個人的には、商社系は勢いで進めているのか、安全に関してコメントを求めても「大丈夫。大丈夫。出歩かなければ。」のような返事になります。いや、こっちは出歩くから聞いてるんだけど・・・

 物流系は、対応してくれる人の差が大きいです。はっきり言えば、問い合わせは面倒くさがられます。仕事の依頼で問い合わせても、難しい地域への輸送になりそうな時は無視されました。こっちは、難しいからこそ、物流のプロに相談してるんじゃん!(内心、”この先、お宅は絶対使わない!”と思いつつ電話を切ったこともありました。結局、現地輸送も自分で手配してやりましたよ。)もし、この業界に知人がいれば、力になってくれるのかもしれません。

 その一方で、資源系の企業から得た情報はとても詳細でした。「ブランチの現地スタッフに聞いた所、最近、麻薬マフィアの活動が活発になってきて、付近の村々の住民が非常に神経質になっている。見知らぬ外人の我々が村に近づいただけで攻撃を受けるかもしれない。」のような新鮮な情報を教えてもらいました。長年、現地住民との関係を維持しているから、得られる情報なのだと思います。

 上記の情報を得た地域は外務省のマップでは危険レベル0で、色が付いていませんでした。(昔は、事件が起きていても、敢えて情報を公表しなかったこともあったとか。理由は、危険な地域とされると、ボランティア等の人材が集まらなくなって困るから、と言っていました。今もそうだと言ってるのではないですよ。上司が変わると方針も変わりますから。)

 安全情報を含めて、現地の情報を得るには、商社や資源系の企業に知り合いがいればいいのですが。もしいなくても、関係していそうな機関(大学や研究所等も含めて)や関係者に積極的に接触して情報を得ていくと良いです。私も、最初の頃は全く面識の無い機関にも電話やメールで問い合わせてきました。自分が誰で、どういうことをしていて、どんな事で困っているのかを正直にお伝えし、相談にのってもらいました。(もちろんマル秘情報は話しませんよ。)そうすると、「・・ここだけの話ですが・・・」と、こそっと教えて頂いた事も多いです。
 仕事を進める際に、多くの方々の親切に支えて頂いた事にとても感謝しています🙇。

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