赤道直下カリマンタン。ここにもトンデモ道路があります。油ヤシのプランテーションが盛んで、幅広い道路が切られています。見通しも良く、スピードも出せるので快適です。そんな道路の一体何がトンデモなのか?
ここ、尋常ならざるスコールが降るんです。熱帯だから。舗装無しの、赤い土がむき出しの道は、大雨で一瞬で泥んこになります。そこかしこでバイクがスリップし、地元住民が路面に投げ出されます。自転車のおじさんも、泥にタイヤがとられ転倒します。そして・・・一番怖いのが、路面に投げ出された住民達が、道路沿いの排水溝に滑り落ちて行くのです。自転車もろとも。
そう。止まったら終わり。転んだら終わりの道なんです。
道路の断面がカマボコ型なんですわ。道路の両脇に傾斜があるので、スコールの雨水で、みんな排水溝に流されて行くんです。両手を使って這い上がろうとするも、泥で滑って排水溝まで戻されてしまいます。リアル蟻地獄を見た気がしました。
道路の両脇で泥だらけでもがく住民達の姿は、一瞬先の自分達の姿かもしれません。我々の車はカマボコ道路の中央部を震えるように走りました。車のフロントガラスはスコールの雨に打たれ、ワイパーMAXでも追いつかず、全く前が見えない中・・・。対向車が来たらどうなる?
「止まろう?ねえ、止まって雨が止むのを待とうよ。この状態で走るの危険だよ・・・」
震える私の提案は、現地人ドライバーに却下されました。
「止めたら雨で車が滑り落ちる!!走るしかないんだ!」
覚悟を決めて走るしかないと分かりました。
“ドライバーさんの腕を信じるよ!だから助かって!”
“滑り落ちても死にはしない。でも、今日は野宿だな。”
“夜が明けたら集落まで歩いて、住民に頼んで車を引き上げてもらわないと。”
“最寄りの村まで歩くと3~4時間はかかるから往復で半日だわ。”
“大丈夫!まだ4日ある。ホテルまで戻れるし、飛行機に乗って日本に帰れる!”
祈りと諦観のはざまで、車はノロノロと、しかし必死の思いで走って行くのでした。1時間程でスコールは止み、前が見えるようになってから、ドライブは安全なものになりました。でも、水が捌けないうちは、排水溝にハマる人続出でした。
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