女一人で海外出張: 海外での診療事情(2)

2017年7月10日月曜日

海外での診療事情(2)

海外での診療事情(2)こと、謎の熱病シリーズその2です。今回は、ジャカルタ郊外で熱病に倒れたC氏のケースです。


主訴:夕方から熱が出た。だるい。下痢はしていない。吐き気はないが食欲がない。蚊には刺されていない。熱中症かもしれないが、持参した塩飴舐めてたし、水も飲んでいた。
(私が見て、C氏は不衛生な食事はしていない。初めてのインドネシアで、疲れが出たのかな?)

すぐ最寄りの病院に連れて行きました。そこは大企業資本で建てられた病院で、周辺の村々の中では最も近代的な設備を備えている所だそうです。現地人スタッフが話をつけてくれ、通常の診察とは別ルートでスムーズに診察室に運ばれました。診察室は大部屋で、10以上の診察台が並んでいます。そこの一つに横になるように言われました。担当は若い女医さん。現地スタッフが症状を説明しています。

女医さん:「蚊にさされた?」
C氏:「いいえ。」
女医さん:「食当りでしょう。」

!即決かい!日本人だからって、いつも食当りとは限らないよ。

私:「彼はお腹を壊していません。」
女医さんは、寝かされているC氏のお腹を押しています。
女医さん:「痛い?」
C氏:「いいえ。」

女医さんは暫く考えていました。
女医さん:「これは、インフェクシー パルパル ね。」

ぱるぱる?ぱるぱる?・・って何??
いんふぇくしーってことは、感染症?

私:「それはインフルエンザの一種ですか?」
女医さん:「そう。風邪ね。」
私:「ぱるぱるってどういう意味?」
現地スタッフ:「肺。」
私:「ドクター、彼は気道症状はありません。咳もしていないし、喉の痛みもありません。」
女医さん:「う~ん。でも、これはインフェクシーの一種よ。何処かでウイルスに感染したんでしょう。」
現地スタッフ:「空気感染する何かのウイルスだって事だよ。」
女医さん:「食事はできますか?栄養剤打っとく?」

注射や点滴は針が使いまわしの可能性が高いので、お断りしました。食欲は無いけど消化に良い物を摂らせますと伝えました。

女医さん:「なるべく食事してください。ポカリ飲めばそのうち良くなりますよ。」

え!ここでもポカリが薬扱い?!言われるがまま、病院からの帰りにポカリを買って帰りました。この病院での診療代はおよそ1500円。

でも、なんなんでしょう。寝かされたC氏を囲んで、女医さん、現地スタッフ、私、の3人でワイワイやって決まる病名って・・・しかも、病名がぱるぱるって・・・

 C氏は二日くらい寝込んだ後、復活していました。

 この熱病、女医さんの見立てだと空気感染する何らかのウィルスのようです。現地スタッフとの話によると、女医さんが言っていたインフェクシーパルパルとは、肺炎にも使うようなので、正式な病名ではないそうです。
「この辺りにはマラリア村もないし、熱に周期性がないからマラリアやデングやチクグニャでもないだろう。風邪だろ。とにかく、インドネシアには様々なバクテリアやウイルスがいるから。」
と言っていました。

 そこが、怖いのよ!様々なバクテリアやウイルスって所が。

 私の時もそうでしたが、一時苦しむだけで、すぐ回復するので重大な感染症ではないのでしょう。でも、いつ、どこで、どうやって感染したのかも分からない、感染源が人だとしたら、咳もしてないのに周りに感染する、この感染力。正体不明な所が怖いです。

C氏のケースは、女医さんも、現地スタッフも、はっきりとは言いませんでしたが、案外、軽い鶏インフルを疑っていたんじゃないのかな・・・
3年前に、その辺りでも鶏インフルが発生していたし。
C氏が発症する数日前、皆でお弁当食べている時、放し飼いの軍鶏軍団に囲まれたんですよね。
囲まれた我々の中で、C氏が一番抵免疫力が落ちていたから感染したとか・・・。
🐔🐤🐤🐤

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