女一人で海外出張: ホストテイスティング

2017年6月15日木曜日

ホストテイスティング

 海外のレストランで食事をためらわせている理由の一つが、ワインを注文できない事だと同僚が言っていました。「日本のレストランですらボトルでワインをオーダーしたことないのに、海外のレストランでワインをオーダーするなんて・・・」「オーダーできても、その後、どうしたら良いか分からないし。」だそうです。

 きっと、彼が懸念していたのは、ホストテイスティングをどうするか分からないという事だと思います。

 ホストテイスティングは、言ってしまえば、”ブショネがおきていないかどうかの確認作業”です。ブショネとは、ワインのコルク栓が腐ってワインが劣化する現象です。ボトルをちゃんと保管しても、コルク栓を使っている場合は、ある割合で必ず起きる現象です。スクリューキャップでは起きません。独特の腐臭がするのでそれをホストテイスティングで確認します。ワインに劣化が起きていない場合は、ソムリエを見て「お願いします」と一言いえばOK、にこっと微笑んで頷くだけでもOKです。

 ブショネの時は「ブショネだと思います。別のボトルに変えてくれませんか?」とお願いします。

 「好みの味ではなかったから、別のワインに変えてくれ」はできません。あくまでも、ワインの質の劣化の確認です。

 一人での食事では自分がホストテイスティングをしますが、グループでの食事の際は、お客ではなく、もてなす側の人が行います。




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飛行機での食事中の出来事

 前の席に座っている男性が赤ワインをオーダーしていました。CAさんがボトルを運んできて、ラベルを見せ確認し、グラスにちょっと注ぎました。男性はもっと注ぐように指示し、CAさんは仕方なくグラスに通常量を注ぎ入れました。男性は普通に飲み始めました。

 その男性と通路を挟んで隣の男性も同じワインをオーダーしていたので、CAさんは次の男性のグラスにも、ちょっとワインを注ぎました。その男性はすぐホストテイスティングをし、「ブショネじゃないか?」と言いました。CAさんは丁寧にお詫びをし、別のボトルを運んで来て、ワインを変えました。その男性はブショネに当った事を特に気にする事も無く「ありがとう。」と言っていました。

 最初にオーダーした男性はというと、その様子を見ていました。隣の男性にお詫びをしている最中のCAさんを強引に呼び寄せ、「腐ってるだろ!どうなんてんだ!え?!どんな管理してるんだ!」と怒鳴り始めました。CAさんは「申し訳ございません。こちらでは一定の温度で適切に管理はしておりますが、どうしても・・」と話している最中なのに、CAさんの言葉にかぶせるように、「腐ってんだろ?!」と怒鳴り続けます。CAさんは丁寧に謝り続けていました。

『今の自分の姿を客観的に見て、恥ずかしくないの?』
『ブショネは起きるもんだから、仕方ないじゃん。』
『最初、あなた気付かず普通に飲んでたよね。』
と思って見ていました。

 スマートな男性とみっともない男性、どちらも日本人男性の姿。海外出張に行っていると、いろんな男性の姿を見るものです。
 いや、でも本当に、CAさん、お疲れ様です。 

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